西村美佐子のレビュー一覧

  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    下巻が特に面白いのは、世界で初めてゲノム編集赤ちゃんを作り出した中国の賀建奎を巡って人間がその領域に手を伸ばす事の是非を巡る論争。同氏はゲノム編集により双子の赤ちゃんを誕生させたが、倫理的な観点から国際的な非難を受けた。また、バイオハッカーと呼ばれる元NASAの生化学者、ジョサイア・ゼイナーも登場する。自分の遺伝子を変化させるために遺伝子編集ツール「CRISPR」を使用した最初の生体人間となった。

    鎌状赤血球貧血症は赤血球に関わる疾患であり、赤血球を生産する幹細胞は、容易に患者から採取して、再び患者の体内に戻すことができる。この病気は、ヒトDNAの30億以上ある塩基対の1文字が変異しヘモグロ

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    2024年07月06日
  • コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

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    ゲノム編集技術CRISPR-Cas9の開発によってノーベル賞を受賞した女性科学者ジェニファー・ダウドナの業績を中心に描いたノンフィクション作品。ダウドナ博士の生い立ちから、「自然に対する純粋な好奇心」が、ゲノム編集技術の誕生に至る原動力となった経緯に迫る。また、科学者たちの競争や協力、そして彼らの発見がどのように世界に影響を与えたかについても掘り下げる。ゲノム編集、デザインベビーの技術からmRNAワクチンまで。科学的な領域も分かりやすく、科学者の伝記としても面白く読めた。

    ー 2018年ある中国人科学者がクリスパーを使ってヒト胚のゲノムを編集し、その原因になるHIVウィルスの受容体を生成する

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    2024年07月04日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    ゲノム編集について特に興味を持った。
    病気や遺伝的異常を取り除ければ、とても優れた特徴であるが、生殖細胞系列のゲノム編集については考えさせられる。

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    2023年07月16日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    ネタバレ

    ジェットコースターのような展開がとてもスリリングで読み飽きない。下巻はいよいよクリスパー(CRISPR)が実装されていくステージに入る。プレーヤーもバイオハッカーのザイナーやクリスパーベビーを誕生させたフー・ジェンクイらが登場してくる。

    クリスパーに代表されるテクノロジーは「滑りやすい坂道」に例えられている。クリスパーベビーのテーマは批判するのは簡単かもしれないが重い。この後に出てくる第41章「思考実験」、および第42章「誰が決めるべきか?」は生命倫理を扱うテーマだけに、これだけでもじっくり読む価値がある。ここのパートがあるので後半のダウドナらの行動についても理解が追いつくようになる。

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    2023年05月06日
  • コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

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    ノンフィクションを読んでも本当の事は分からないのだろうが、自然科学、研究、論文、特許、人間模様、のグローバルな時事刻々の進展をインタビュー取材で掘り出し、記録し、組み立て直した著者の力量に圧倒される。冒険物、スリラー物が好きな人にも勧められる。生命科学用語の難易度は、果たしてどうなのかな、一般教養レベルなのかな?

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    2023年03月14日
  • コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

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    伝記作家のウォルターアイザックソンの新作。
    ゲノム編集技術クリスパーの開発経緯から、その後の特許紛争、新型コロナへの対応までを、ノーベル化学賞を受賞したジェニファー・ダウドナさんを中心に描いたノンフィクション。
    ゲノム編集という言葉は知っていたが、それがどんなもので、どのような経緯で開発されたか知らなかったので大変勉強になった。 著者自身が編集作業を経験したり、特許やこのツールの将来の在り方についても絡んでいて、自己の見解を述べたり、研究者間の橋渡し役になっている所が普通のノンフィクションとは違っている。当事者の視点も盛り込まれている。科学者間のポリシーの違いから、医療と生命倫理について考

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    2023年03月05日
  • コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

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    スティーブジョブスの伝記を書いたアイザックソンの著作ということで、期待をしていたが、その期待以上の筆致で唸らされた。(上)はこの本の主人公であるダウドナが、化学の道を選び、RNAの研究者としてクリスパーキャス9システムのメカニズムを解き明かしていくまでが時系列で丁寧に描かれている。
    (下)はもっとスコープを広げてバイオテクノロジー分野に関わる人たちの物語という感じで、(上)(下)別の物語として楽しめる。(上)だけでも完結した価値で楽しめるけれど、(上)(下)通して読んだほうが絶対によい!

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    2023年02月26日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    スティーブジョブスの伝記を書いたアイザックソンの著作ということで、期待をしていたが、その期待以上の筆致で唸らされた。(上)はこの本の主人公であるダウドナが、化学の道を選び、RNAの研究者としてクリスパーキャス9システムのメカニズムを解き明かしていくまでが時系列で丁寧に描かれている。
    (下)はもっとスコープを広げてバイオテクノロジー分野に関わる人たちの物語という感じで、(上)(下)別の物語として楽しめる。(上)だけでも完結した価値で楽しめるけれど、(上)(下)通して読んだほうが絶対によい!

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    2023年02月26日
  • コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

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    ジェニファー・ダウドナ著の『CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見』を読んだので、上巻は復習かなぁと思っていたが、知識の雨がざぁざぁと降ってきた上巻。

    なぜ、面白かったのか。思いつくのは4つ。
    1)全体的には登場人物が多いのに、メインのストーリーラインを失わない著者の構成力
    2) 各人物について記述されている文章量に差はあれど、第三者視点でインタビューした内容が公平に書かれていること
    3) 各章のはじめに人物の写真が載せられていて、それが大体章の内容を語っているという不思議な説得力
    4) 研究とビジネス(特許権含む)の動きについて、目を瞑りたくなる部分にも、明瞭に公平にそして淡々と書かれて

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    2023年02月14日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    とても面白かった。
    生命科学の最前線でもあるし、コロナ禍で研究者が如何に困難に立ち向かっていったか、その結果ワクチンの開発が早く進んだこと、まさに今旬の話題だと思う。

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    2023年01月15日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    ベストセラーとなった「スティーブ・ジョブスⅠ・Ⅱ」をはじめ、レオナルド・ダ・ヴィンチやアルベルト・アインシュタインなど、偉大なイノベーターの評伝で知られる著者が、2020年にノーベル化学賞を共同受賞したジェニファー・ダウドナ博士の半生を中心に、遺伝子研究の歴史がゲノム編集技術として結実するまでの軌跡を辿る一冊(上下2冊)。

    幼い頃に科学者を志したダウドナが、好奇心と競争心を武器に女性蔑視の風潮や民間企業での挫折を乗り越え、研究者としての優れた資質とチームマネジメントの才を生かしてゲノム編集の鍵となるCRISPR-cas9の構造をいち早く解明し、論文発表に至る過程だけでも圧倒されるが、著者の知

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    2023年01月12日
  • コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

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    ベストセラーとなった「スティーブ・ジョブスⅠ・Ⅱ」をはじめ、レオナルド・ダ・ヴィンチやアルベルト・アインシュタインなど、偉大なイノベーターの評伝で知られる著者が、2020年にノーベル化学賞を共同受賞したジェニファー・ダウドナ博士の半生を中心に、遺伝子研究の歴史がゲノム編集技術として結実するまでの軌跡を辿る一冊(上下2冊)。

    幼い頃に科学者を志したダウドナが、好奇心と競争心を武器に女性蔑視の風潮や民間企業での挫折を乗り越え、研究者としての優れた資質とチームマネジメントの才を生かしてゲノム編集の鍵となるCRISPR-cas9の構造をいち早く解明し、論文発表に至る過程だけでも圧倒されるが、著者の知

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    2023年01月12日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    DNA編集技術のクリスパーCAS9の発見に至る経緯を追うノンフィクション上下巻の後編です。後編ではDNAを編集できる技術をどう活用すべきかという論理的な問題が主なテーマです。DNA編集の技術は先天的な遺伝子疾患の患者さん達にとってはまさに福音でした。多くの遺伝子疾患が治療対象の候補となっています。一方で、人間の身体機能をより向上させることも実現できる可能性が出てきました。2018年には中国の研究者がHIVへの耐性を強化する処置を施した赤ちゃんを誕生させる事態へと至りました。
    ウィルス耐性を向上させたり、遺伝子疾患を解消するのは「治療」と考えられ、多くの人がその妥当性には納得できそうです。一方、

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    2023年01月11日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    ゲノム編集技術のクリスパー・キャス9を開発した女性科学者のジェニファー・ダウドナの評伝。下巻ではコロナワクチンの話もでてきます。最後にジェニファーとエマニュエルがノーベル化学賞に選ばれるまで。

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    2025年04月21日
  • コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

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    ゲノム編集技術CRISPR-Cas9システムの発明者の1人であるジェニファー・A・ダウドナを中心とした物語。
    共同研究者のエマニュエル・シャルパンティエと共に2020年にノーベル化学賞を受賞しており、世界的に注目を集める研究者である。

    そんな彼女が、そもそもなぜRNAの研究に足を踏み入れたのか、というところから序盤は始まる。
    体裁は第三者的な目線で書かれているが、内容が細部にわたり、ダウドナの伝記を読んでいるようであった。
    ダウドナの研究の基礎には、指導教官のジャック・W・ショスタクの影響が強い。
    ショスタクがダウドナに残した以下の教訓は全ての研究者に刺さるのでは。
    「リスクを恐れず新たな分

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    2025年04月19日
  • コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

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    ゲノム編集技術のクリスパー・キャス9を開発した女性科学者のジェニファー・ダウドナの評伝。他の科学者との開発競争のシビアさも伺えられる。

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    2025年04月02日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    学者の在り方や競争といった現実のストーリーも面白かったが、何よりDNAを編集できるクリスパーシステムを得られた人類や、個人はどうあるべきか、の部分に非常に考えさせられた。人類の将来全体に影響を及ぼしうるテクノロジーをどう扱うか、というリスクの話もあれば、逆に遺伝子疾患の治療に代表される、不幸に対して使わないことに対する道徳的観点などは非常に重要かつ難しい問題。世の中には核安全保障や薬物問題、生命科学など、人類の存亡に大きく関わるテーマがあるんだと改めて認識

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    2025年03月29日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    上巻に比べて範囲が広いと感じた。クリスパーキャス9だけでなくクリスパーベビーを誕生させることとの倫理的問題、コロナウイルスを対処すべくmRNAワクチン、スパイクタンパク質、ゲノム編集、遺伝子工学、ジェームズワトソンの二重らせん、PCR,分子生物学等でコロナウイルスの治療に向けての取り組みがよく分かった。

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    2025年01月11日
  • コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

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    コロナウイルスのワクチンの仕組みと既存のものとの違いについて、かなり詳しく理解できた。本書のテーマは専門的で難しいかもしれないと思っていたが、RNAとその役割について分かりやすく説明してくれており、素人でも読みやすかった。

    以下、本書よりメモ書き
    コロナウイルスの特徴として、その形状が挙げられる。コロナウイルスの殻の外側にあるタンパク質はスパイクのような形をしていて、スパイクタンパク質と呼ばれる。電子顕微鏡で見ると王冠のように見えることからコロナと名付けられたことは周知の事実。

    下記のシノバック、ジョンソン&ジョンソン、アストラゼネカは伝統的な手法で作られたワクチンで、ビオンテック、ファイ

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    2024年05月19日
  • コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

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    科学の世界で繰り広げられるドロドロの人間ドラマ。特許権や論文を巡る争い、研究室同士の確執…どのような業界でも争いは存在するのである。自身の名誉と利権のためにあらゆる手を使って相手を出し抜く大人たち。笑顔の裏に潜む相手の本心は誰にも分からない。ノンフィクションだが、まるで上質なサイエンスミステリー小説のようでおもしろく読める。

    以下、本書より抜粋。
    「偉大な科学者だけが持つ特別なスキル。それは、緻密な実験を重ねることと、スケールの大きな問いをすることだ。神は細部と、そして全体にも宿る。」

    「科学のブレイクスルーが一瞬のひらめきで起きることはめったにない。それらは総じて10年以上にわたって演じ

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    2024年05月04日