宝樹のレビュー一覧
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誇張抜きで本編に負けず劣らず面白かった。正直、期待値を軽く超えてきた。『三体』三部作を読んだなら是非併せて読んで欲しい一冊。
内容は本編の補遺プラスアルファと言ったところか。無論、著者自身が明言するように、これは無数に存在する"有り得るかも知れない真実の一つ"に過ぎない。だが自分は本作の世界観を積極的に支持したい。少なくとも自分にとってこれ以上理想的な答え合わせは逆立ちしても想像し得ないだろう。
単純に小説作品としても完成度は高い。遥か悠久のヴェーダのようでもあり、一方でニーチェの永劫回帰の思想をも思わせる。本作それ自体が壮大な神話であり深遠な哲学でもある。
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“宝樹” 時間を操る作家
ケン・リュウ編ハヤカワSF新書「月の光」にあった「金色昔日」をよんでから、この人の物語になぜか惹かれる。
宝樹短編集『時間の王』
「穴居するものたち」……人は自らを囲い有限のなかに平安を得る。なぜ? そしてラストはやっぱりロマンチック。
「三国献麺記」……嘘をホントにする為の時間旅行。ドタバタって理屈なく楽しい。
「成都往時」……過去にしか行けないタイムトラベラーと不老不死を得た者が再び出逢うことはできるのか。ロマンチックタイムトラベル、良いですね〜。
「九百九十九本のバラ」……タイムトラベルなんて、もうどっちでもいいほどロマンチックで青春、作者も「二つは同 -
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劉慈欣が認めた二次創作「三体X」の作者、宝樹の短編集。全7篇。
ユーモアの強い「三国献麵記」すれ違いメロドラマ系の「成都往時」など、どの話も読みやすい。
私は一話目の「穴居するものたち」が好き。おうちだいじ。→
「三国献麵記」は三国時代に詳しければ100倍楽しめたなぁ、と思う内容。吉川三国志を3巻までしか読んでない私、曹操と赤兎馬の関羽しかわからん(笑)
「成都往時」は恩田さんの「ライオンハート」が好きな人にはたまらないのではないかと。私は好き。
「最初のタイムトラベラー」は→
読み返すとじわじわくる怖さと面白さ。まさにショートショート。
全体的に恋愛風味な印象はありつつ、楽しめた一冊。 -
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ネタバレ三体シリーズの二次創作の公式スピンオフ、なんて聞いたら読まずにはいられなかった。もはや三体シリーズの細かいことを忘れているため、思い返しながらの読書となった。
作者は"原作を隅々まで読み込んだ三体オタク"なのだろうという熱量がひしひしと伝わってきた。あの物語と並行して謎を解き、あちこちを繋げて伏線を回収し深く掘り下げ、かつ物語として丸くおさめるのはかなり難しいことだと思うけれど、それをやってのけている。
統治者や潜伏者、次元逆転のあたりは話がややこしく、何を言っているのか分からない場面もあったけれど、当の天明もよく分かっていないことが明かされたりしてホッとしたりした。
特に -
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ネタバレ・8月15日に読み始め、19日に読み終えました。
・すごい!めちゃくちゃ同人誌だ。おもしろかった。Ⅲで「どうなった/なるんだろうな」と思ってた箇所がたくさん補完されてて、良かった。すっごく楽しく書いたんだな…… ってわかって楽しかったです。私も二次創作をする人間なのでなおさら……
・AAの前世の話から成る天明とAAのロマンチックな運命、よかったな~。AAと死に別れたあとの天明の使命もそうだけど、天明に科せられたさまざまのもののスケールがすごい。三体世界に行ってからの三体人との攻防もおもしろかった。
・二次創作の感想を書くにあたって、原作と比べたり原作を引き合いに出したりするのは違うよな -
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「三体 死神永生」以後について、また、それまでに描かれてこなかった側からの話を描いたファンフィクション。
原作で特に気になっていたアイAAとユン・ティエンミンのその後は、この本全体にとってはプロローグ的に書かれ、そのあとからこそが、このファンフィクションの凄いところだった。
大胆な発想で自由に、三体という作品を本当に愛しているのが伝わりつつも、オリジナルの作品としての強度があって非常に楽しく読んだ。
訳者あとがきにもあるように、「第三部 天萼」での異世界描写が特に凄まじく美しかった。。
地載亀、均衡鳳、歌い手と王、滅びゆく毋世界。。
かつて歌い手が清めた世界、太陽系と同じように彼らもまた終わり -
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『三体』の二次創作。インターネットに発表した作品が評価され、本家公認となって出版された。雲天明が三体世界に囚われた状況を語る。拷問は過酷であった。三体人側には残酷なことをしているという自覚もない。現代日本の人質司法や外国人収容と重なる。三体人は地球人と接触することで、だますことを覚えた。その結果、だまして商品を売買することが行われ、三体世界は混乱した。ルールに基づいて競争することが市場競争である。それがなくなると市場は崩壊する。
智子は日本人をモデルとした。三体人は自己を大陸を侵略した日本になぞらえている。良くも悪くも中国人にとって日本は存在感のある国なのだろう。 -
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ネタバレ「三体Ⅲ 死神永生(ししんえいせい)」刊行直後(なんと1ヶ月以内!)に当時アマチュアだった宝樹(パオシュー)さんが二次創作として本作をネットで発表。大きな反響となって本家、劉慈欣さんからも公認されて出版されたという。
なんだか、90年代後半から瞬く間にネットで拡散された「僕が勝手に考えたドラえもんの最終回(仮)」のような展開だ(個人的には「三体X」より、ドラえもんの最後のセリフ「のび太くん、宿題終わったのかい?」の方が好き)。傑作の裏ストーリーを二次創作した名作品としては、三谷幸喜の「オリエント急行殺人事件(第二夜)」も素晴らしかった!…おっと、話を本書に戻します。
正直、本作のすべての登場