犬が主役を張っている漫画は多い。
犬が喋る漫画も、まぁまぁ多い。
パグが主役って漫画も、他にあるだろう、多分。
けど、人と会話が可能なだけじゃなく、ぶっちぎった戦闘力を有し、何より、漢気が光っている漫画ってのは、この『INNU』が初めてじゃなかろうか。
面白い漫画ってのは、設定がぶっ飛んでいるってのが大事だけど、やりすぎてしまったら駄作になってしまう。
この『INUU』は、その辺りが絶妙で、しっかりと引き込まれた。
『ONE PIECE』のドレスローザ編に登場する、ドンキホーテファミリーの幹部の中で、ある意味、唯一の常識人枠で、何より、ダンディズムの塊であるセニョールピンクをカッコいい、と感じる人なら、この『INUU』って青年漫画と主役であるイッヌの良さが刺さるんじゃなかろうか。
ヒロインがヤクザの娘なので、ちょっとバイオレンスな描写もあるが、『忍者と極道』ほどじゃないので、暴力的過ぎるのが苦手な人でも安心して読めるのも強みと言える。
擁護し辛いほどのスケベだが、男としての筋を通し、飼い主であるサリーちゃんの命と、彼女が望む平穏な生活を守るためなら、一切の容赦をしないイッヌの魅せる戦闘シーン、これもまた、カッコいい。
犬、特に、パグに、こんな動きなんて無理だろ、なんて野暮なツッコミすら引っ込むレベルだ、これは。
そのバトルシーンを、コミカルな部分が活かしており、実にバランスの取れている漫画なので、ぜひ、読んで欲しい。
これらの台詞を引用に選んだのは、シブいなぁ、と震えたので。
セニョールピンクが好きな人には合うって感じた事もあってか、読んでいる最中、イッヌの声にずっと山路和弘さんの声が当てられてました、私の中で。
いや、こう書くと、台詞自体はどうでもいい、と思われそうだけど、そんな事ぁない。
これらの台詞には、ちゃんと、イッヌのカッコ良さが詰まっていた。
その台詞を、山路さんが言ったら、もっとカッコ良いだろう、と思っているだけだ。
「普通の犬ってのも案外、楽じゃねぇな・・・」
「そこには、ドッグフードを詰めさせてもらったぜ」
「―――そんなことは、犬の糞ほど、どうでもいいが、喋る犬を前にして一切怯まねぇことだけは褒めてやるよ、あんちゃん」
「―――この服、気に入ったぜ、サリーちゃん。ちょっとやそっとじゃ型が崩れねぇ。じっとしてられねぇ俺にはピッタリだ。何より―――そこのアホ犬のよれた服よりかは、随分、格好がつく」
「―――ツモ。96000点。テメェら全員、トビだ」(byイッヌ)