「かまいませんので」「おかまいなく」は魔法の言葉ですね。淑女の恥じらいを超える愛情表現の究極だと思います。笑
失恋の傷と偶然の好意と、打算や理屈を上回る純粋な愛情。
ほのぼのあまあまな物語の中にほんの少しの切なさと勇気のお話があって、寝る前の癒しと明日からの希望がもらえるような、すてきな一冊です。是非ともお手にとって読んでみてくださいませ。
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以下、ネタバレを含みます。
散文、時間の許す方のみお付き合いください。
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ほっぺすりすり、猫みたいな甘えかたがたまらなくかわいいです。
肉体関係を持っていると知ればなおさらに奪いたくなるような男の人も、他人の前で異性関係を隠そうとする女の敵だと謗るような女性も、聖斗くんのクラスには誰もいないのがすごい。それは絵空事だ!と言われて仕舞えばそうかもしれませんが、そういう人たちがたまたまひとつところに集まることも、ものすごい奇跡的な確率次第であり得るのかも知れません。彼は自分に秀でたところがないと思っているようですが、そうした敵を作らずにいられる振る舞いや、悪意ある人をそもそも身近に寄せない心模様とは、それこそ金では買えない「豪運」だと私は思います。
いいですねぇ。あまあま作品に相応しい、都合が良すぎるほど良い人たちだらけの空間。ほのぼのします。笑
莉音さんのツンケンぶりも、アイラさんの抜け目ないSな様子も、なかなかに物語を楽しませる要素で素晴らしいです。1巻で完結する内容と見てとることも出来ますが、叶うなら続きが見てみたいです。特に、莉音さんは、明らかに訳あって聖斗くんの告白を断ったであろうことが、端端から感じ取れます。その経緯を読んでみたい。印象的なのは、ルナさんと婚約解消のためのパートナーを探した「妥協の結果ではない」と莉音さんが認めたとき、聖斗くんを素直に祝福したことです。本心から愛していないと、こういう態度は取れないと思うのです。本当に無関心であり、家庭の不和を解消するための演技だとするなら、むしろこんなにも彼のために心を尽くしたりしないのですから。……私の個人的脳内劇場で、莉音さんが良い声すぎるのもあって、感情移入が強いのも理由です。笑笑
アイラさんの豊かな観察眼と、側で支えるやさしさや静かで強い愛情表現もすごく魅力的でした。ルナさんに支える理由と、彼女が慕う聖斗くんを守りたい理由は、「笑顔を取り戻してくれた恩人だから」というのは、もう、なんだか涙もろくなった、わたくしにはボロ泣きでございました。
それだけに、一件落着と思わせて、お姉様の相手はわたくしが見定めますわ!とばかりに迫ってくる妹さんの存在が気になりますね。笑 巻末にさりげなく登場するあたり、次巻が気になります。現時点ですでに発売しているのですね!
失恋の傷を癒すために別の恋人を利用する。それはたしかに間違いなく不誠実な行為ですが、他人の評価を気にするのならという話に過ぎません。当人が、理由はどうあれ、自分を求めてくれることに喜びを感じてくれるのなら、何も問題などないのです。
こうした後ろめたいことを、隠さずに互いに話し合える関係というのもすてきだなぁと思いました。「その罪悪感-うしろめたさ-は、私たちを引き裂くものになります。話してください、聖斗様」といった言葉は特に感動しました。なんといっても、聖斗くんの悩みは、そっくり翻れば、ルナさんにとっても同じ悩みなのですから。傷ついた心を癒すために別の女を利用する。それは見方を変えれば、傷ついた男を独占するために、失恋の機会を狙って迫っているとも言えるのです。そのことを知っていてなお、諦めない。卑しさと紙一重のその貪欲さは、まさに、自分を選んで欲しいと望む誠実さそのものだと思います。依存と信頼は相手に心を預けているか否かの差で、紙一重であるように、不誠実な振る舞いというのも、他人に評価されるのならいざ知らず、当人たちの間では、本当に見分けがつかないほどに紙一重な存在なのかもしれません。ほのぼの癒しの話と思わせて、深い哲学を得させてもらいました。
ネコクロせんせ、ありがとうございます!
それにしても、莉音さんとの関係も気になるぅ!
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個人的脳内劇場:配役 ※敬称略
聖斗:逢坂良太 ルナ:紡木吏佐
莉音:林鼓子 アイラ:青木陽菜
聖斗くんは、『蒼の彼方のフォーリズム』日向晶也くんを連想しましたので、逢坂さんをお招きしました。あとの皆さんは、もう、ね。ブシドーッ!でお分かりいただけますね。
……むずかしい?ではご説明を。
今はドーナツソフトさんに委譲されましたが、かつてはブシロードのゲームであった、D4DJから、Photon Maiden・出雲咲姫さんの印象により、紡木吏佐さんをお招きしました。英語が達者であるあたりも、馴染みがあろうかと思われます。
そして林鼓子さんと青木陽菜さんは、いわずもがな、Bang_Dream! It's MyGO!!!!! から、椎名立希、要楽奈、の2人の印象によりお招きしました。楽奈さんはあまり喋らない人なので、あのトーンでたくさんセリフがあるアイラちゃん役を演じてもらえたら楽しそうだなぁという、私の欲でございます。莉音さんに関しては、ルナさんとのやりとりで「はぁ?」があったのが決定的でした。笑 もうね、ブシロードオタクにとって「はぁ?」といったら、立希さんなのです。笑笑
ここまで散文にお付き合いいただき、ありがとうございます!
あなたの読書と、これからの時間が、明るく、穏やかで、やさしいものになりますように。