またしても、大当たりの漫画を読め、テンションがメッチャ高まっています。
怖いけど面白い、私は、こうゆうのが読みたいので、とても嬉しいですね。ストーリーは全体的にポップな感じで進行していくんですが、絵柄は濃い目で、オカルトをテーマにした漫画のテイストに、よく合っているな、と私は感じました。
なので、みなぎ得一先生の『足洗邸の住人たち。』や、ともつか治臣先生の『令和のダラさん』に、好みのツボを押される漫画読みは、この『多良さんのウワサ』も、確実にグッと来るんじゃないでしょうか?
人々の間の間で、恐怖の感情をメインにして噂話や寓話で語られ、拡散し、その形をよりおぞましく変えていき、ますます、恐怖の対象として力を付けていく、そんなオカルト的な存在って立ち位置、これが、実に面白いですね。
口裂け女や人面犬、ターボババァと言った有名どころが、あの時代にも大勢の人間をビビらせ、その実在性を確立させていた訳ですから、SNSが情報収集もとい情報を良くも悪くも世に広げる手段になっていく、この現代では、新たな怪物が生まれても、何ら不思議じゃありません。
そんなバケモノを真正面から倒す、そういうテイストの話も、それはそれで好きで推せますが、この『多良さんのウワサ』は一味も二味も違っています。
まさか、メインヒロインがギャルってのは、今時で、なおかつ、窓口先生の「好き」を感じられ、推せます。やっぱり、描き手の本当の「好き」が見える漫画は、面白さが増しますから。
コミュ強なギャルは、その個性を存分に活かし、人を恐怖させるのが“生き甲斐”である生きた噂に対しても、何ら怖気る事無く接し、果てには、無害な存在に作り替えてしまいます。それが良い事か悪い事か、は別として、種族関係なく誑せるコミュニケーション能力はとても羨ましくなりますね。
そんな多良さんのギャルギャルさ全開な天衣無縫っぷりに振り回され、ペースを乱され、価値観を一変させられるのが、どちらかっつーと陰キャ寄りなからめちゃんってのが、これまた、キュンですわ。
恋愛的な意味での百合っぽさじゃなく、ライトな女の子同士のフレンドシップなテイストなので、果て無き百合の道を歩き出した人にもお薦めできます、自信を持って。
この台詞を引用に選んだのは、多良さんの強味と、ひしぎちゃんの長所が見えるものだな、と私が思っったので。
多良さんの強味は、先入観で決めつけず、まず、相手を知ろう、と自分が傷付く可能性も承知で、正しい勇気で相手に対し、一歩前に踏み出せる所。
からめちゃんの長所は、圧の強さに怯みながらも、そんな多良さんの強さにしっかりと気付ける、相手の事をちゃんと観察できる所。
相手を知る、それこそが、良好な関係を築くために大切で、最初にすべき事なんでしょう。
見た目だけで、何もかも決めつけ、相手の事を知ろうとしないのは、もったいないですよね。
戦争、とまで行くと、少し、規模が大きくなり過ぎちゃうでしょうけど、諍いって表現が出来るレベルの事くらいなら、相手の事をちゃんと知ろうとする、これをやっていれば、回避できるかもしれません。
(あ、そうか、わたしたち、お互いのこと、なんにも知らないんだ。これも、よくある話だった。恐怖心、正体見たり、無知無理解。この人は、恐怖に鈍いんじゃない、知ろうとしてるんだ)(by挫十字からめ)