作品一覧
-
3.71巻1,100円 (税込)近代に染まる寸前の日本を科学者の目が見つめていた―― 菓子屋の看板、人力車、屋敷の屋根瓦、和服の装い、そして、穏やかに暮らす人々。 大森貝塚の発見で知られるモース、その鋭敏な眼差し惹きつけられたのは、明治最初期日本の何気ない日常の営みだった。 東京大学教授として滞在する2年間にのこした、膨大なスケッチと日記には、卓越した科学者ならではの観察眼と、異文化を楽しむ喜びが満ちている。 彼が日本で出喰わした愉快な経験の数と新奇さは、ジャーナリストも汗をかくほどのものだ。 人通りの町を一列縦隊で勢よく人力車を走らせると、一秒ごとに新しい光景、新しい物音、新しい香り…… 明治十年代のまだ近代に出会ったばかりの列島の生活を、モースは驚きと敬意をもって見つめていた。 当時の生活文化を記録した重要資料であり、なおかつ読んで見て楽しめる明治日本見聞記。(解説・牧野陽子) ※本書の原本は1939年に創元社より刊行された抄訳本です。
ユーザーレビュー
-
Posted by ブクログ
江戸博で「明治のこころ展」を見てきた勢いでこの本を読みました。私は昭和25年生まれですが、「明治のこころ展」に展示してある家財道具や写真にある人々の様子は、私が子供のころ(昭和30年代)にも残っていたもので、なんだかとてもなつかしかったです。高度成長期までは実は江戸~明治が残っていたのですね。
「日本その日その日」でモースが日本や日本人のことをとてもよく書いてくれていますが、きっとモースその人がとても愛情を持って日本や日本人に接したので、当時の人々もモースに丁寧に接したのではないかと思います。
モースが日本人の美点として書いてあったもののうち、今では少なくなってしまったもの、なくなってしまった -
Posted by ブクログ
大森貝塚発見で有名なモースの日本滞在記。基本日記形式であり、日々の記録ではあるが当時の日本についてのかなりまとまった観察(貝塚発見時のことも含まれる)が書かれている。特に庶民の生活がうかがわれることが特徴か。自身によるイラストも相まって明治初年の日本をするために良い本だと思う。外国人に対し外面をよく見せているだけかもしれないが、今の日本人とはかなり違う面もあるようだ。
一部訳語に古い言葉が入っていると思ったら翻訳自体が1939年のものとのこと。もう少し注を付けるなどした新訳がほしいところ。
なお、この本はかなり省略されているようで、原本は東洋文庫で3冊とのこと。そちらはどうなっているのかちょっ