漢文を理解するための、訓読法を解説した書である。
仕組みをしるための書、漢文を読むためには、言語だけにひたすら試行錯誤するしかない
それは古代中国語の原文を、いきなり日本語として理解するための方法であった。
著書は、中国語の秀でた方のようであるが、もともと中国語を知らなければ、もともとの白文に訓読法を用いることはできない。
今も昔も訓読法を用いることは難しいことであると述べています、古典の訓読法はこれまでの経験といっています。
その方法が統一されたのは、ようやく、明治維新の時であったとのべているのがおかしい。
気になったのは、以下です。
■漢文とは
・漢文とは本来中国語であるものを、日本語でよんでいる。つまり、中国語で書かれた文を中国語では読まずに、いきなり日本語として読んだ時の名称である。
■漢字と漢語
・漢字は、表意文字だから1字に1つ意味があるが、2字に結びついて1語をなしているもの、などがある。それを熟語という。
・実字、つまり名詞に相当するもの、虚字、名詞以外のものがある。そのなかには、日本語として意味があるかないか微妙なものがある。
夫(それ)、惟(これ、ただ)、蓋(けだし)、豈(あに)、安(いずくにか、いずくんぞ)
也(なり)、矣(い)、哉(や、かな)、邪(や、か)
以(もって)、使(しむ)、見(らる)、於(おいて)
而(しかして) 等、訓読では読まない虚字であっても、軽くあつかうのは危険である。
・漢字には、日本でつくられた和製の漢字、国字がある
■訓読の方法
・同じ熟語でも日本と、中国で使われ方の違うものもある、意味が通じないものもある、汽車と自動車、農協など
・長い間、日本で読みがかわっているものがある。重箱よみ、湯桶よみ、訓読み、音読み
・漢字の音にも、時代がある。漢音、呉音、唐宋音。同じ漢字でも読みを2つ以上もっているものがあって、当然意味が違う
・中国語の四声を日本語では取り入れることができなかった。だが、同様、日本にもアクセントの違いで意味が異なる語がある。
・仏教の経文は、呉音でかかれているので、漢音で読むことは仏法の伝統に欠ける
【送りガナ】忽⇒すなわち と呼ばせたい⇒忽チ と、チを送る
【返り点】 レ点 一二点、上下点、甲乙丙、天地人と使っていく
【再読文字】 宜再考⇒宜しく再考すべし 宜しくとすべしが再読 シ宜シク と書く 将 我将上京 われまさに上京先とす
他に、当(まさに~べし)、応(まさに~べし)、須(すべからく~べし)、且(まさに~す)、蓋(なんぞ~ざる)、未(いまだ~ず)、猶(なほ~ごとし)、等
【書き下し文】 白文 ⇒ 返り点をつける ⇒それを日本にしたものが書き下し文 君を思へども見えず滄州に下る
また、書き下し文を、確認のために、漢文に戻したものが、復文
・句読点をつける 区切りを定めるために、句読点を打つ、これを断句という
■訓読の歴史
・奈良時代から、明治初期までに訓読の苦労の歴史をふりかえる、
万葉仮名から、かな、カナが誕生
ヲコト点など、暗号化していく点図
文選読み
江戸時代の訓読法の改革
目次
まえがき
1 漢文とは何か
2 漢文と漢語
3 訓読の方法
4 訓読の歴史
5 むすび
解説(齊藤希史)
ISBN:9784480097095
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:224ページ
定価:1000円(本体)
発行年月日:2015年12月
発売日:2015年12月10日第1刷
発売日:2023年04月20日第7刷