009.自分は常に新しくなっていく
かつての真実を今では間違いと思う。それを自分の当時の若さ・浅さ・世間知らずとして断じて葬らないほうがいい。なぜならそのときの自分にとってはその考えは必要だったから。かつて必要だったものが、今は必要でなくなるという脱皮の過程である。
013.いつも機嫌よく生きるコツ
いつも機嫌よく生きていくコツは、人の助けになるか、誰かの役に立つことだ。そのことで自分という存在の意味が実感され、これが純粋な喜びとなる。
014.好奇心に振り回されない
身の回りや世間で起きているいろいろな事柄に、そのつどごとに首を突っ込んでいると、結局は自分が空っぽになってしまう。あるいは、自分の空虚さをなんとか埋め合わせるために、あらゆることに顔を向けている人もいるくらいだ。好奇心は、自分の能力を発火させるためにはたいせつだが、世界のすべてを見聞できるほど人生は長くは続かない。若いときに自分が関わる方向を着実に見定め、それに専念していくほうが、ずっと賢く、自分を充実させていくことができる。
023.仕事はよいことだ
職業はわたしたちの生活の背骨になる。背骨がなければ、人は生きていけない。仕事にたずさわることは、わたしたちを悪から遠ざける。くだらない妄想を抱くことを忘れさせる。そして、こころよい疲れと報酬まで与えてくれる。
031.人生を最高に旅せよ
旅行を漫然と楽しんでそのままにするのではなく、これからの毎日に活用し生かしていくことが、人生を最高に旅するということ。
054.心は態度に現れている
細かい事柄にとらわれる人は気遣いがある、繊細であるのかもしれないが内実は恐怖心を抱いている。あるいは、どんな事柄にも自分以外の人が関わるとうまくはいかないと思っていて、内心で人を見下している場合もある。
058.虚栄心の狡猾さ
自分の良からぬ性質や癖、悪い行動を素直に打ち明けたように見える場合でさえ、そのことによってもっと悪い部分を隠してしまおうという虚栄心が働いていることがままある。
059.飽きるのは自分の成長が止まっているから
いったん自分のものとなり、少しばかり時間がたつと、つまらないもののように感じ始める。それが物であっても人間であっても。慣れて飽きるのは本当は自分自身に飽きている。手に入れたものが自分の中で変化しないから飽きる。すなわち、それに対する自分の心が変化しないから飽きる。自分自身が成長し続けない人ほど飽きやすいことになる。
062.快・不快は考え方から生まれる
快感や不快感は、何かから与えられるものではなく、自分の考え方が動かしている。自分には選択の自由なんかなかった。自分には選べる自由があるという考えがなければ、快感も不快感も生まれない。
070.自分を成長させる交際を求める
若い人が傲慢でうぬぼれているのは、まだ何者にもなっていないくせに、いかにもひとかどの者のように見せたがっている同程度の連中と仲間になっているからだ。
075.世間を超えて生きる。
世の中を超えて生きるとは、まずは、自分の心や情のそのつどの動きによって自分があちらこちらへと動かないということだ。
085.批判という風を入れよ
批判は、疑い深くて意地悪な意見ではない。批判は風だ。頬には冷たいが、乾燥させ、悪い菌の繁殖を防ぐ役割がある。
086.組織をはみだす人
みんなが考える以上によく考えて広い思考の幅を持っている人は、組織や派閥に属する人間としては不向きだ。なぜならばそういう人は、いつのまにか組織や党派の利害を越え、いっそう広く考えるようになっている。だから考え方の問題で組織になじまなくなっても、自分だけがおかしいと思う必要などない。
087.悪人には自己愛が足りない
悪人の不幸を自業自得だと傍観しているだけではよくない。彼が自分自身を憎むのではなく、なんとかして愛することができるようにわたしたちは努めようではないか。
095.だまされた人の悲しみ
あなたが誰かをだましたりすると、その人は悲しむ。だまされたことで何か損を受けたから、その人は悲しんでいるのではない。その人がもうあなたを信じ続けられないということが、その人を深く悲しませているのだ。今までのようにあなたをずっと信じていたかったからこそ、悲しみはより深くなるのだ。
104.体験だけでは足りない
体験によって人は成長できる。しかし、あとでその体験をよく考察しなかったら何にもならない。
105.勝つなら圧倒的に勝て
競争においてはかろうじて相手に勝つというのはあまりよろしくない。圧倒的な差をつけて勝つ。そうすれば相手は「もう少しだったのに」という悔しい思いも自責の念も持つこともない。
120.強くなるための悪や毒
人生の中でさまざまな悪や毒。それらはないほうがましで、ないほうが人は健全に強く育つのだろうか。憎悪、嫉妬、我執、不信、冷淡、貪欲、暴力。これらを克服する機会と力で、この世を強く生きていける。
122.怠惰から生まれる信念
信念があるのは一見すると偉いようだが、その人はかつての意見をずっと持って、その時点から精神が止まっている。どんなに正しそうに見える意見も主張も、絶えず新陳代謝をくり返し、時代の変化の中で考え直され、作り直されていかなければならない。
128.所有の奴隷
人生とは、限りなく多く所有する競争のために与えられた時間ではないはずだ。
137.恋人が欲しいと思っているのなら
多くの人から好かれるほど、きみはいい人間になろうと努力しているかい?自分を愛してくれるのはたった一人だけでいいって?その一人は多くの人の中にいるんだぜ。それなのに、みんなから好かれるようにならない自分を誰が愛してくれるというんだ?
142.愛は喜びの橋
愛とは、自分とは異なる仕方で生き、感じている人を理解して喜ぶことだ。自分と似た者を愛するのではなく、自分とは対立して生きている人へと喜びの橋を渡すことが愛だ。
147.最大のうぬぼれ
それは愛されたいという欲求だ。自分は愛される価値があるのだという声高な主張がある。そういう人は、自分を他の人々よりも高い場所にいる特別な存在だと思っている。自分だけは特別に評価される資格があると思っている差別主義者だ。
156.真の教育者は解放する
真の教育者とは、銘柄とか実績によるのではなくて、あなたの能力をフルに発揮させてくれる人ではないか。あなたがいきいきと自由に、活発に、能力を存分に発揮するようにさせてくれる。
157.物事の感性まで待つ忍耐を持つ
時間による熟成を信じながら絶えず歩んでいくという気質が決定的な役割を果たす。
161.プロフェッショナルになりたいなら
何かのプロフェッショナルになろうとするのなら、あらかじめ克服しておかなければならないことがある。それは、性急さ、短気さ、意趣返しなどを含めた報復欲、情欲といったもの。
167.賢さを見せつける必要はない
自分の賢さを不用意に見せつけたりすれば、遅かれ早かれ有形無形の反発や抵抗を味わうことになる。何か良いもの、気分を良くさせるものなどを得ることなどできない。賢い人に特有の、一種の鋭敏な冷たさや考え深さによって他の人々を傷つけることもなくなる。
187.献身は目に見えないこともある
医療職だけでなく、他の仕事の多くも、実は献身のひとつの形ではないだろうか。結局は人を助けるために自分を犠牲にした仕事ではないか。